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園主の嫁取り(くすくす姫サイドストーリー)
第3章 長老会議
「本日はどのような趣旨の召集ですかな?」
長老達が集まって、会議が開会しました。
サクナが会議を召集するのは、滅多に無いことでした。
長老達は虎視眈々と、サクナの第一声を待ち構えておりました。

「……嫁を取ることにした。」

サクナの言葉に、長老達は色めき立ちました。
「なんと!ようやくお決めになったのですな!」
「おめでとう御座います」
「どちらの家の娘でしょう」

「都の姫で、名はスグリと言う」

「何ですと!?」
サクナの言葉で、場の雰囲気が期待から驚愕へ、完全に反転しました。
「その方は、ご領主の子息の見合い相手ではありませんでしたか」
「破談になったと聞きましたが、何故」

サクナは静かに口を開きました。
「確かに、タンムの見合い相手だった女だ。だが、俺があいつに惚れて、あいつも俺に応えてくれた。他の女を嫁にする気は無え」

「当主!?」
その言葉を聞いて、場を占めていた驚愕は、一気に非難へとなだれ込みました。
「当主!気は確かですか!」
「これ以上ないほど気は確かだぞ?認められねえと言うのなら、俺は当主を降りる」
「そのような身勝手な!」
「何と言われても、スグリ以外の嫁は取らねえ」

サクナはスグリ姫の父である王に反対された時も、気に病むことはありませんでした。
反対されるのが当然であることは、分かり切っていたからです。
そしてもうひとつ、父王の反対よりもこの長老達の反対の方が、陰湿で苛烈であろうと言うことが、想像できていたからです。

「……恩を仇で返すのですか」
「そんな積もりは毛頭無え」
「貴方様はこの地を守り、富を絶やさぬために、先代に迎えられたのですよ」
「そんなこたぁ分かってる。実際、そうして来た筈だ」
「貴方には、代々の当主が守ってきたものを次の当主に渡す、重大な責任がある」
そこまで話を聞いたところで、彼は冷ややかに長老達を睨め付けました。

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