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雪の日に祝福を・・・。
第9章  絵画コンクール
  


「仕方ないわね。」


 ボックスには、先客が居る。仕方なく公衆電話の方に入り番号を押した。


「月依、さん?」


「そう。よく判ったわね。」


 すぐに名前を呼ばれて嬉しくなった。


「心配してたんだよ。」


「ごめんね。急な出張に行かされちゃって。充電も切れちゃったのよ。」


「そう。気を付けてね。」


「ええ。明後日には、帰るわ。」


 電話を切った。
 明るい声に少しだけ励まされたが罪悪感は、残る。病院にいい思い出などない。


 》 》


 嘘が上手になっていいことは、余計なことを詮索されないこと。私は、誰にも本心を言う気などない。
 でもこの想いを書き記しておきたい。


 《 《


「ただいまー」


 2日後の夕方に家に帰り着くと彼の姿がなかった。


「あら・・・」


 出迎えてくれることを少なからず期待してしまっていた。


  
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