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いつまでも思春期
第15章 とにかくヌードを放映したい(改訂版)
若い女性を全裸で健康診断。

ありえないシーンを昭和のテレビが放送したことがある。しかもゴールデンタイムにだ。

何かのバラエティー番組の単発特集企画だったと思う。
冷凍庫に人間が入ったら、体温はどう変化するか知りたかったらしい。
正確なデータのために全裸でする必要があったらしい。
いやしくも科学的な実験なら、被験者は複数──個人差を考慮して老若男女の体型別に──が必要なはずだが、
代表として若い女性ひとりだけで実験である。
もうすでに破綻している。

「モデル」とだけ紹介されて、スタジオに入ってきたのはのは、ロングヘアーの普通の美女であったが、名前も年齢もわからなかった。
番組は収録で、実験はすでに終わっている。これから彼女の美しい裸身をVTRで見るわけだが、

「過酷な実験だから事故がないように、事前に健康診断をしました」
とMCは言い、嘘ではないと、その映像が流れた。
病院の診察室で初老の男性医師の診察を受ける彼女は、すでに全裸にされていた。

予想以上に美しい裸身だが、全裸で診察?
それなのに、やっているのは普通の診察である。聴診器を胸や背中にあてて、舌の状態を観る程度だった。全身を露わにする必要性はなさそうだった。

最初は、ものすごい違和感があった。
しかし、一糸まとわぬ姿でにこやかに問診に答える彼女が完全にナチュラルで、なんというか、これはこれで意味があると思えるようになってしまった。


いよいよ冷凍庫のシーン。
かわいいお尻を見せて、みずからドアを開けて庫内に入る。
身につけているのは、腰に巻いた謎のセンサーだけだ。
(謎というのは、心拍や血圧をモニターするのに腰は不自然だし、そもそもコードさえつながってないのだ。いったい何だったのだろう。さらにいえば、実験の目的である体温はどうやって測るのか)

マイナス?度ではカメラがやられるのか、庫内はガラス越しに撮っていた。

しかし、予想外の霜(しも)。内側からガラスを拭く彼女のバストショットがせいぜいで、「いい画」は撮れそうもなかった。

なしくずしに、実験終了。
スタジオでの結果発表は「体温は上がる」、それだけ。何度上がったかも示されなかった。
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