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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

「巽、イク。巽のでイッちゃうの、巽っ!」
「ああ、わかる。お前の中すごくうねって、俺を奥にと誘ってる。一緒にイクぞ」

 そう言うと、巽は腰の律動を早める。
 固くゴリゴリとした先端が、勢いよく中を擦り上げて穿つ感覚に、わたしは巽の汗ばむ背に爪をたてて、止まらない快感に喘いだ。

「アズ、アズ……杏咲っ」

 壮絶に色気を垂れ流して、わたしの名前だけを呼んで艶めく巽が愛おしい。

 好きな男に抱かれることは、こんなに幸せで気持ちいいものだったのか。
 欲情する巽に魅入られて、揺さぶられながらわたしもまた彼を求める。

 果てなき欲情は、恋に溺れた時から続いている。

「アズ、絶対、離さないからな」

 元義弟は欲情にただの男となり、

「わたしも……もう絶対、離れたくないっ」

 元義姉は欲情にただの女になる。

「……あああああ、巽――っ」
「アズ、俺も……ぁ、は……っ」

 白い閃光が散った瞬間、わたしの中でぶわりと膨らんで震えたそれ。
 巽は切羽詰まった声を出しながら、何度か最奥を突いた後、薄い膜越しに熱いものを迸る。
 わたし達は絡み合いながら一緒に震え、互いの首に顔を埋めて荒い息をついた。

「沢山……出ちゃった……」

 くらくらするほど艶めいた男の顔で、悪戯っ子のように笑う巽が愛おしくてたまらない。

「いつか……わたしの中にちょうだいね」
「そういう可愛いこと、言うなって」

 わたし達は縺れ合いようにして絡み合い、長いキスをする。
 巽の目が優しくて、ドキドキが止まらなくなってしまいながら。

「ようやく俺の恋が叶った……そう思うのに」

 巽は切なげな顔でわたしを見下ろした。

「また、お前に恋をしたように切ないよ。お前が足りない。連日お疲れ様と、まだ休ませられない」
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