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僕の彩芽
第10章 十

* * *

 一時間後、ほろ酔いになった私は、焼酎の入ったグラスを持ちながら熱弁する。

「で!急に、掌返すみたいにベタベタしてきて!ロボットみたいに冷たかったくせに!」

「本当に酷い男だね……彩芽ちゃんをペット扱いするなんて」

「ですよね?!訴えて良いですよね?!」

 事の経緯を全て話す間、龍生さんはずっと親身になり話を聞いてくれた。……こんな人が彼氏だったら良いのになぁ。秋人さんとは、正反対。優しくて、常識的で、そしておおらかで誠実。

「助けてあげたい。キミを……。彩芽ちゃん、俺が逃がしてあげようか?」

「逃がす?えっ……?」

「夜逃げだよ。俺が遠くまで連れて行ってあげる」

「遠くまでって、一体何処へ行くんですか?」

 話に驚く私とは違い、龍生さんは至って真剣だ。……ヤバい、酔い過ぎたかな。頭がくらくらしてきた……。

「今日はこのまま近くに身を隠して、朝一の便で沖縄へ行こう」

「お、沖縄?!」

「俺もついていってあげるよ」

 ……龍生さん、何を言ってるんだろう。私のことを考えて言ってくれてるんだろうけども、沖縄なんて。

ヤバい……楽しそぉぉぉ!



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