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僕の彩芽
第10章 十

「あっ……」

 察してくれたか。そのまま気まずそうに話し掛けてくる龍生さん。

「じゃあ、俺がプレゼントするよ」

「いえ!結構です!アナログ人間なもので!」

「じゃあ彩芽ちゃんと、どう連絡取ったら良いの?」

「テーブルで交換日記的な……?」

「そんな少女漫画みたいな事するわけないだろ!」

 ですよね……。というか、私も冗談で言ったんだけど。龍生さんがまさか本気にするなんて。

「こうなったら口説き落とすまで毎日来るよ、俺。一週間で彩芽ちゃんを彼女にしてみせるからね?」

「龍生さん、私なんかに……時間が勿体ないですよ」

 そう言いながら、さっき口付けられた事により顔は火照り、速まったままの鼓動に戸惑っていた。まさかお客さんから口説かれるなんて……。人生何があるか分からない。

「彩芽ちゃん、俺と付き合わないと後悔するよ」

 自身に満ち溢れた笑みを溢し、龍生さんは更に私を困惑させた。
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