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僕の彩芽
第13章 十三

「俺の事が好きじゃないのか?」

「っ、……違います……」

「じゃあ来い」

「はい……」

 否定するわけがない。恐る恐る私は、秋人さんの方へ近付いていく。

「なあ、ポチ。旅館の部屋に二人きり。これでも欲情しないか?」

 秋人さんの前に座った途端、すっぽりと逞しい両腕に体を包まれて、クラクラと眩暈がしてしまった。

「だって、だって……」

「だって……?」

「私、使い物にならないんですよね……?」

 そうっと顔を上げて秋人さんの顔を見つめると、秋人さんと目が合う。

「……なに?」

 一瞬怪訝そうに顔をしかめ、秋人さんは私の頭を撫でた。

「まさか、そんな事を気にしてたのか?」

「そんな事じゃないですよ!女として、秋人さんを満足させられないのが私は嫌なんです……好きだから、ちゃんと秋人さんを気持ち良くしたいんです……」

「ポチ……」

 泣きそうになる私を面食らった様な顔で見て、秋人さんはそのまま私の体をきつく抱き締めた。

「やっぱり俺のペットは可愛いな……。いや、ペットじゃない。彩芽は俺の大切な妻だ……」

「えっ……妻っ?!え、ええっ?!」

 話が飛びすぎてやしないか?!昨日は恋人って言ってたのに!妻って!

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