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僕の彩芽
第14章 十四

「彩芽ちゃん、ごめんね、部屋まで来て。でも、どうしようもなかったんだ……。彩芽ちゃんに会いたくて……」

「……どうして部屋が分かったんですか?」

「それは……」

 しゅんと落ち込んだように、龍生さんは話を続ける。

「蝶子さんに、彩芽ちゃんのご主人の事を聞いて……。ご主人の働く店に行ったら、ちょうどご主人が店から出て来て……」

「……後をつけたんですね?」

「……」

 私の質問にこくんと頷き、へらへらと笑う。

「えへへ……」

「えへへじゃないですよ!そんな事する人とは思いませんでしたよ!龍生さん!」

「ごめん!嫌わないで!彩芽ちゃ~ん!」

 また抱き付いてこようとする。そんな龍生さんを強引に部屋の外に出すと、思わず玄関に鍵を掛けた。

「ちょ、ちょっと!彩芽ちゃん!何で出すの!開けてよ~!」

「何となくです!もう来られても困りますから!私、人妻なんです!」

「離婚しなよ!俺と結婚しようよ!」

「するわけないでしょうがっ!帰って下さい!というか帰れ!」

 ドンドンドンドンとドアを叩かれて、私は冷たく言い放っていた。






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