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僕の彩芽
第14章 十四

 すると、ドアを叩く音が止み、ドア越しに龍生さんの呟く声が聞こえてきた。

「……俺、諦めないよ」

 龍生さん……。いや、諦めろよぉぉぉ!

「もう、しつこい人ですね!私結婚してるんですってば!諦めてください!もう部屋に来ないで下さい!」

「……」

 言い返しても返事がなく、私は帰ったのかと思い、そっとドアを開けた。まさか衝撃的な光景が視界に映るとは思わず……。

「鼠を狩りに来た」

 ドアの前で秋人さんが龍生さんのスーツの首根っこを掴んでいると知ると、拍子抜けする。

「えっ?!秋人さん、何で!」

「最近よく店からマンションまで後をつけてくる車がいたから、もしやと思って見張っていたんだ」

「そうだったんですか!」

 無表情で機嫌悪そうに話す秋人さんがヒーローに見えて、私は目を輝かせた。



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