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僕の彩芽
第8章 八

「秋人さん!500万です!これ返しますから、もうペットはやめさせて貰います!」

 祝!脱ペット!悪魔秋人からの解放!

「どうですか?ほら、本物ですよ!」

 明け方、秋人さんが帰ってきたのを見計らい、寝室へ秋人さんが入って来た途端、私は茶色い封筒に入った500万を秋人さんへ差し出した。秋人さんは仕事の後で疲れた顔をしているが、500万を見ながらスーツの黒いネクタイを外し始めた。

「……」

「ペット、やめて良いでしょう?」

 何で何も言わないんだろう。びっくりしたのかな。私が500万を急に用意したから。まさか用意出来るなんて思ってなかった筈だよね……。

「秋人さん……」

「ポチ」

「何ですか……?」

 漸く話すと秋人さんは封筒を手に取り、中身を確認し始める。

「何処から用意した?」

「それは……」

「消費者金融か?」

「違います!」

 豪から借りたとは言えない。豪から借りる時に口止めされたから……。

「返して来い」

「ちょっ!本当に違いますって!変なところから借金したんじゃないです!だから……私、此処を出ていきます!」

 封筒を突き返されて、焦りながらも必死に告げた。――だが、そのまま乱暴にベッドへ押し倒される。秋人さんは私に覆い被さると獣の様な目で見下げ、牙を向く様に言い放った。

「うるせぇ。500万用意すれば、此処から出て行けると思ったか?」

「ひっ……」

 だって、そうでしょうよ!私は500万で買われたんだから!500万返せば、自由になれるでしょうよ!

「ポチ、それは違う……買われた時点でお前は俺のペットだ。ペットを返却出来る店があるか?ないだろ?」

「そんな!言いがかりですぅぅぅ!」

「この500万はどうしたか分からねーけど、ちゃんと返して来い。良いな?」

「そんな……」

 耳元で言われながら、全身震えた。
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