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僕の彩芽
第9章 九

「仕事に行きたくないな……ポチ、ついてくるか?」

「まさか、そんな事出来ませんよ!」

「ポチと離れたくない。困ったな……」

 秋人さんは困った顔で、軽く私の頬へ口付ける。そうされて、私はついに白目を向いた。

「……」

 この状況をどうしたら良いのか分からない。困ったのはこっちだ。これってやっぱり秋人さん、私の事をペットとして溺愛してるって事?変態だから。

「兎に角、早く服を着てください……」

「ああ、そうだな」

 秋人さんは返事をすると、漸く私から離れる。私は足元に転がった瓶を拾い、ため息を吐いた。

「はぁ……」

 溺愛されていれば、そりゃペットを辞めさせても貰えるわけがない。どうしたもんか……これから。

「ポチも一緒に来い」

「えっ?!」

「着替える時も一緒だ」

 秋人さんが私の手を繋いで、引っ張る。

「えぇぇぇ!」

 着替えぐらい、一人でしてくれよ!

「行こう」

 そのまま寝室へ向かって歩き出す。そんな秋人さんに驚きながら、私はついていくしかなかった。
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