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第7章 退院

実家を出る時に、都内に居を構えるのは当たり前のステータスのように言われた。

僕の仕事は緊急性がないから、病院から離れていても良かったのだが、親からの条件で都内と絞られ、なるべく離れた、どこか田舎を思わせる街と、駅から少し離れた川沿いのマンションを選んだのだ。

｢川の近くって何だか落ち着きますね。｣

｢何だか少しでも季節を感じられる場所がよくてね。｣

｢あの辺桜並木なんですね。｣

｢ええ、花見客が集まりますよ。｣

｢私の田舎は山ばかりで川は無かったですけれど、でも、ビルに囲まれた街よりは落ち着きます。｣