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アゲマン!
第3章 更に深まる謎



金曜の夜…。

沙那の期待に応えるかのように、その男は現れた。


「まだ、店を開けてたのか…。」


前回と同じ服装だが前回よりも不機嫌に男が言う。


「貴方を待ってたんです…。」


今回は男に教わった通りにまずはおしぼりを出し、コースターに灰皿、グラスも間違えずにカウンターに出す事が出来た。

前回と違うのは沙那がわざわざ酒屋に行き男が好みだと言ったハーパーの用意をしているという事だ。

だから男は少し沙那に驚きの表情を見せた。


「母について、知っている事を話して下さい。」


沙那はそれがわかれば、こんな店には用はないと考えている。


「さぁ…、なんの話かわからんな。」


男は沙那が出した酒を飲みながら惚けたように答える。


「知っているんでしょ?だったら教えて下さい。」

「飲み屋のルールには客が嫌がる事を詮索はするなってルールがある。あくまでも客を楽しませて飲ませるのが飲み屋という商売だ。そんな基本も出来ないのならさっさとこんな店は閉めるべきだ。」


男はただ酒を楽しみたいだけだという態度を崩さない。

今回の美春は自分は口を挟むべきではないと黙ったままだった。

沙那だって、このままズルズルと水商売を続けたい訳じゃない。

母親の遺した謎をさっさと解き明かしてこの店を閉めたいという気持ちがあるからこそ男には質問を繰り返してしまう。


「仕事は何をされているんですか?」


真希のように名刺を出して男が自分の身分を明らかにしてくれないかと期待をする。


「お前が知っても仕方がない仕事…。」


男はバーボンウィスキーのストレートを舐めるようにして飲み、時々、タバコを吹かしながら沙那の質問にははぐらかすように答える。



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