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アゲマン!
第1章 始まった謎



そんな美春だから、沙那も美春とは今回も母親が残した遺言と謎を隠したりはせずに説明をする。


「この封筒なんだけど…。」


母親が宇崎に預け、自分の通夜には必ず沙那に渡して欲しいと望んだという封筒。

宇崎は自分の方が沙那の母親よりも年上なのだから、まさか自分がその遺言の執行人になるとは思っていなかったと沙那に言った。

母親は仕事の同僚である宇崎にすら自分の死を隠し続けたのだ。

美春が封筒の中身を見てもいいかと沙那に目配せをする。

沙那は美春の期待に答えるかのように無造作に封筒の中身をリビングにある小さな脚の低いガラステーブルの上にぶちまけた。

パサッ…カチャン…

紙が2枚…。

鈍く光る銀色の鍵が2本…。

鍵はどちらも同じもので1本はスペアなのだとわかる。


「これだけ?」


可愛らしい顔立ちの美春は目をクリクリとさせて驚きの表情を見せる。


「うん…、これだけ…。」


呆れたように沙那は答えるしかなかった。

マンションにしろ車にしろ全て丁寧に税金の支払いまで済ませて沙那名義にした上に、学校の学費の支払いも全て完了させているという遺産の残し方に念を入れた母親が沙那に最後に残したものは、たった2枚の紙切れと2本の鍵だけである。

しかも、紙切れの1枚は明らかに地図のコピー。

地図の一箇所に印が付き『Locate』とだけ母親の筆跡の文字で書かれている。

もう1枚の紙切れには


『貴女が求める人だけを探しなさい。』


とパソコンの印字で書かれている。


母親が最後に残した言葉が


『貴方なら大丈夫…。』

の一言。

一体、何が大丈夫で誰を求めろと母親が言っているのか沙那には全くわからない。

母親である川中 理奈(りな)が残した謎にため息をつき、沙那は親友である美春とベッドで眠った。

母親が残したミステリーを解くには、あまりにもキーワードが少なく、沙那は考える事すらせずに眠りにつくしかなかった。




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