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アゲマン!
第9章 寂しい謎



そして2週間が過ぎる…。

あれから沙那は龍平とは全く連絡が取れない日々が続くだけだ。

いくら気丈な沙那だとしても、さすがに限界だとため息を吐きたくなる。

龍平とのあの1夜は一体なんだったのかとすら考えてしまう。

若干20歳の沙那に比べれば龍平は完全な大人の男であり、時折、見せる子供っぽさも無理をして沙那に合わせてくれただけかもしれないという不安に沙那は押し潰されそうになっていた。

沙那がそんな風になるのも、あれから問題らしい問題も起きずに、むしろ退屈と言える日々が続いたせいなのだろう。

以前と変わらぬ暮らし…。

美春と通う学校…。

それだけが今の沙那の毎日である。

だから沙那がため息をつく。


「ため息は早く老けちゃうよ。」


美春が沙那に口を尖らせた。


「わかってます…。」


慌てて口元を沙那が引き締める。

気丈だった自分を取り戻そうと沙那なりには必死であるには間違いない。


「まだ、龍平さんは連絡がつかないの?」

「つかないわよ…。てか、もう護衛すらしてないんじゃないの?」

「そんな、いい加減なの?」

「クライアントが死亡してるからね。」


沙那は一番言いたくない嫌味を届くはずのない龍平に向けて言ってしまう。

依頼人が死亡している仕事なんか片手間の遊びにしかならないのだろうと…。

そうやってため息をつく沙那に美春は何も言ってやれずに平凡な日々が続いた。





いつものように学校を済ませ、美春と別れて沙那が自宅のマンションの前まで帰宅した時だった。


「川中さん…。」


沙那を呼び止める男の声に沙那は振り向いた。

爽やかな笑顔。

スマートな高級スーツの男…。

小笠原 真希が沙那に微笑んでいるのが沙那の綺麗な瞳に映る。




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