この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「スグリ。着いたぞ」
サクナの声と頭に手が乗る感触で、うたた寝していたスグリ姫は、はっと目を開けました。

「ごめんなさい!寝ちゃってた」
「別に、構わねぇぞ?大体、そんなに長ぇこと寝てた訳じゃねぇし…涎が」
「えええっ!?」
そう言われた姫は慌てて口元を押さえて、自分がもたれていたサクナの胸の辺りを確認しました。

「…垂れてなかったぞ」
にやっと笑ったサクナを見た姫は膨れっ面になり、もたれていた辺りをぺちんと叩きました。
「もうっ!びっくりさせないでっ!!…わあ」
窓の外を見ると、眠る前とは風景が変わっておりました。

スグリ姫は、都を出てからずっと、外の景色を物珍しく眺めていました。
バンシルの家に遊びに行ったことは何度もありましたが、遠出をしたのは初めてだったのです。
途中一泊し、 前後の道中では山や木や土の色や、人々の服装などが少しずつ変わる様を見て、バンシルとおしゃべりしたり、サクナに色々尋ねたりして過ごしました。

「さっき通った街中とは、ずいぶん違うのね…」
手伝って貰って地面に降りると、姫は辺りをくるっと一回り見回しました。
見る限り、高い建物が少なく、空も地面も広々としています。
姫が眠ってしまう前に街中を通り、タンム卿の住む館があるのはあの辺りだ、と教えてもらいました。 そこからそれほど離れていない筈なのに、郊外にあるためか雰囲気が違っておりました。

「街と違って、寂しい所だろ?」
「そう?気持ちいい所だなって思うけど…深呼吸したくなる感じがして、私はこっちの方が好きだわ」
姫はにっこり笑ってサクナを見ると、その手に触れて指をきゅっと握りました。

「姫様」
「あ、バンシル」
しっかり者のバンシルは、姫がサクナと話している間に、着々と仕事を進めておりました。
「私は荷物を運ぶのを手伝いますから、先にお屋敷に行かれて下さいな」
姫様の荷物を男共に任せちゃおけませんからね、と言うバンシルに、姫はありがたく甘えることにしました。

「分かったわ。ありがと、バンシル。宜しくね」
「お任せください。終わったら追いかけますよ」
「頼むな、バンシル。スグリ、行くぞ」
姫はサクナにくっ付いて、屋敷に向かって歩いていきました。
/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ