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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「着れたか?」
「うん…もうちょっと」

使者が来て、しばらくの後。ローゼルの家である領主の館に招かれた茶会が、いよいよ明日となりました。
明日に備えて早めに床に就いて、仲良くするのも軽くにしようと約束していたスグリ姫とサクナは、姫の部屋で寛いでおりました。
明日に控えた茶会について、ローゼルからも改めて細かい作法などの事を教わりましたが、サクナからはローゼルの住まいのことや家族の事を聞いたり、領主の家との家同士の関係について聞いたりしておりました。そんな話や取り留めのないお喋りをして、そろそろ休もうかという時間になった頃、姫はサクナに明日のドレスを着てみるので見て欲しい、と願い出ました。

明日着るドレスは、ローゼルも見立てに加わったという、この地の独特なドレスです。
サクナに貰った時に試しに着てみたのですが、見せた直後に二人でさんざん汚して着られない状態にしてしまったので、他の人の前ではまだ一度も着ていません。洗濯屋に出して綺麗にした後、大事に仕舞ってありました。
今回着ることにしたそれを、バンシルと髪型や化粧、装飾品をどうするかを相談するために一度着てみた時に、姫には少し気になることが有りました。それをサクナにも聞いてみたくて、見て貰いたい、と言ったのです。
その願いをサクナは快諾し、姫は隣の部屋でドレスに着替えてみておりました。

「ここで着替えても良いんだぞ?」
「恥ずかしいから、やだっ」
恥ずかしいも何も着たら脱がせるのは自分だろうし、そもそも何度も色々な物を脱いだり脱がせたり時には着せたり破っちまったりしてるだろうがとサクナは思いましたが、賢明にも口に出すのは控えました。普段でしたらそのことで姫をからかって、そのまま寝台に縺れ込むのを楽しむ所でしたが、サクナも今夜は明日のことが気になって、常とは少々違っている様でした。

「新しいのを用意してやらなくって、悪かったな。披露目のドレスは新調するように手配してるが、今回は急すぎて間に合わねえ」
姫の姿が見えずに衣擦れの音だけが聞こえる状況を持て余したサクナは、姫に話しかけました。

「ううん、だってこれ、ローゼル様も見立てて下さったドレスでしょ?だったら、新しく作れるんだとしても、お茶会にはこっちを着て行きたいもの…でも」
「でも?」
そこでやっと着替えを終えた姫が、隣室からひょこっと姿を現しました。
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