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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「緊張してんのか」
御披露目の会の始まる直前、当主と婚約者は未だ控え室に居りました。

「ううん…」
会場準備と来客の迎え入れに、思ったよりも時間がかかっていたのです。

「素直に言って良いんだぞ?」
当主のサクナは婚約者であるスグリ姫の顔が強張っているのを微笑ましく思いながら、結われた髪を崩さぬ様に優しく頭を撫でました。

「本当は、ちょっとだけ。だって、お仕事でお付き合いのある方もいらっしゃるんでしょう?私で、大丈夫かなって」
姫は頭を撫でられながら、少し不安気に眉を寄せました。

「お前で大丈夫じゃなけりゃあ、他に大丈夫な奴なんざ居ねぇよ」
サクナが姫の可愛く顰められた眉と眉の間に唇を付けながら囁いた所で、扉を叩く音が致しました。

「誰だ?」
「私です」
「ああ。入れ」
間を置かずに返ってきた答えを聞いてサクナは入室の許可を出し、スグリ姫はびくっとして、慌てました。

「失礼致しま…」
入って来たのは、スグリ姫の乳兄弟で幼馴染みである腹心の侍女、バンシルでした。

「わあ!バンシル、とっても綺麗!!」
「ああ、よく似合ってるな。良かったな、スグリ」
二人は顔を見合わせて、にっこり微笑み合いました。
バンシルはいつも身に着けている侍女の御仕着せではなく、二人から贈られたこの地のドレスを着ておりました。
上品な光沢のある生地にビーズを散りばめた、胸元から裾に向かって紺色からクリーム色に変わっていくドレスは、バンシルの落ち着きのある控え目な美しさを、効果的に引き立てておりました。

「お褒めの言葉、どうもありがとうございます。これもお二人のお心遣いのお陰でございます。…ところで、ご当主様?奥様?」
「何だ」
「なあに、バンシル?」
けろりと答える二人を見て、バンシルは溜め息を吐きながらまるで頭痛でもするかの様に、眉間の辺りを揉みました。

「お二人共、マーガレットが居るのを、お忘れでは?」
「…ひぇっ!?」
「忘れてねぇぞ?」
バンシルに言われて、姫とサクナは、びっくりと平然という、全く違った反応を返しました。

「え?サクナ、えっ、あのっ」
「忘れてねぇぞ。今日の控え室でのスグリの世話は、マーガレットの仕事だろ?宜しく頼むな」
当主に労われたマーガレットは、赤い顔でお辞儀を致しました。
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