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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「…座ってらっしゃる姿ではなく、お立ちになっている全身を、拝見したいのですが」
「あ?これで大体見えんだろ?俺ぁ今、嫁の緊張を解すという夫の務めの最中だ。邪魔すんな」
バンシルに向けられた白い目を物ともせずに、サクナは姫を膝に抱いたまま、言い放ちました。
その様子に頭痛を覚えたバンシルは、こめかみを押さえながら姫に向かって(すみません無理ですもう付ける薬が有りません)と口パクで告げながら、首を振ってみせました。

「…サクナ?」
「なんだ?スグリ」
よしよしと撫でられながら、姫はサクナを上目遣いで見詰めました。

「私、バンシルにも、ドレス姿を見せたいわ」
「前に着て見せてただろうが…それも、俺が見るよりも、先に」
サクナの拗ねた様な答えを耳にしたバンシルは、こんなに心の狭い御当主様でこの果物園は大丈夫なのか、本気で不安になりました。しかし、その御当主様から直接言葉を返されたスグリ姫自身は、単純で素直でちょっとお馬鹿だったので、返事に含まれたさり気ない当て擦りに気付きませんでした。

「ええ。着て見せた事は、有るわよ?けど、きちんとした姿は、まだ貴方にしか見せて居ないもの」
「あ?」
「私が全部の支度をし終えて、立ってる姿を見たのは、サクナ、あなただけよ?」
姫は控え室の入口でつまずいたので、扉を潜った時には既にサクナに抱き上げられて抱えられておりました。それから姫は、そのままずっと椅子に座ったサクナの膝に乗っていたので、姫の言う通り、支度が整った姫の立ち姿を見た者はまだサクナ一人しか居りませんでした。

「…そうだったか?」
「そうでしょ?デイジーは櫛を挿した所は見てないし、マーガレットもバンシルも、私が立ってる姿は、まだ見てないでしょう?ドレスも装飾品も櫛も身に付けて、髪も結ってお化粧もして、立ってる所も座ってる所も抱き上げられた所も全部見たのは、サクナだけなのよ?」

「あー…そうか…」
「そうよ?それに、デイジーのしてくれた支度がバンシルのお眼鏡に叶うかも見て貰わないと、先々困ってしまうかもしれないわ」
今まではバンシルが姫の支度をしてくれていましたが、今回はこれからの練習も兼ねて、今までバンシルがしていた仕事を新しい侍女三人に振り分けて頼んでいます。
姫が、支度を担当したデイジーの首尾をバンシルに見て欲しいと言うのは、ある意味当然でありました。
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