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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「おめでとうございます」
「有り難うございます」

御披露目の会が始まり、サクナとスグリ姫は、会場の入口で控えの間から宴席に移動する祝い客に挨拶をしておりました。
御披露目ではまず入口で来る人々に挨拶するのが、この地の風習でした。婚礼の際はこれが逆になり、客が先に入った所に新婚夫婦が入場し、祝われるのです。

主役の二人は、ひたすら挨拶を返し続けました。
サクナは祝いの言葉に礼を言い、客に姫を紹介しては姫に客を紹介し、姫はにっこり微笑んで、初めましての挨拶を致しました。
まずやって来たのは、ほとんどが姫の知らない客でした。時折、客が途切れると、ヴァイオレットが姫の様子を見ては扇いだり水を飲ませたりドレスを整えたり、甲斐甲斐しく世話を焼いておりました。主役二人の影になる後ろの方でそれを見ていたバンシルは、侍女三人の教育がまずまず合格と言って良いことに、ほっと胸を撫で下ろしました。

「ご婚約おめでとうございます!」
「有り難うございます…嫁のスグリです」
「おお!噂通り、お美しい嫁御様ですなあ!さすがに、気品に溢れていらっしゃる!」
「過分なお言葉を、ありがとうございます。何も分からぬ未熟者ですが、宜しくお願い致します」
時折サクナの方に目をやってはにかむ姫は、品良く初々しい女主人振りを発揮しておりました。
そして、嫁に見詰められる度に当主が普段よりかなり柔らかく微笑み返している様は、姫の愛らしさと同じ位かそれ以上に、客や使用人の驚きを誘っておりました。 

(おい、サクナ様、笑ってるってよ!)
(見ろよ、嫁御様の可愛らしいこと!…あんな風に笑いかけられちゃあ、不機嫌面で居るのが難しくなるなぁ当然だろうよ)
(あんな顔も出来たんだなあ…鬼じゃなくって人の子だったってこったな)

サクナ様は鬼では無かったらしいという噂は、給仕をする者から皿を下げるものへ、そこからまた別の使用人へと伝言の様に伝わって、遂に厨房まで届きました。
鬼がにこにこ笑ってるらしい、と厨房で男共がざわざわしていると、その背中を誰かが思い切り、ばちん!と叩きました。
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