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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「スグリ様はもしかして、よく迷子になられる性質ですか?」
「え?…ええ、まあ…」
確かにスグリ姫は、どちらかと言うと道に迷いやすい方では有りました。
しかし、ここに来てからは迷子の心配をされすぎているので、実際に迷った事は無かったのですが。
もじもじと居心地悪そうにしていた為か、姫はくすりと笑われました。

「大丈夫ですよ。ちゃんと戻れますから」
「え…えっと…でも…」
この地に来て以来、姫は迷子にならないように、自分でも努力しておりました。
敷地の中は決まった所しか行かない様にしながら少しずつ行ける場所を増やすようにしておりますし、屋敷の中に関しては、ほとんど分かる様になりました。
けれど、今日のお披露目の会が行われているのは、敷地の中の、仕事場です。
面接に使った応接間と今日の宴席が設けられている広間と支度部屋には、姫は何度か入っているものの、未だにどこに何が有るのかという全貌は、よく分かってはいませんでした。
ちゃんと戻れると言うことは、来た道順を憶えているか、どこに何が有るかが分かっているか、その、どちらかなのでしょうか。
来る時に今進んでいる道を通った覚えは有りませんし、この家に嫁ぐ予定の姫でさえ、この建物の中は、半分も分かっていないのですが。

「もしスグリ様が迷子になられたら、私がサクナ様に怒られそうですね?」
「え!?そんなことっ」
戻れるのかどうかをぼんやり考えていた姫は、サクナの名前を出されて、慌てました。姫が落ち着こうとしていると、くすくす笑いが聞こえてきました。
「サクナ様がスグリ様の事をとても大事に思っていらっしゃるのが、今日の会で、良く分かりましたから」
「そっ…です、かっ?」
思わぬ事を不意に言われた姫は、今居る場所の寒々しさも忘れて、かあっと暑くなりました。

「本当に、お二人とも、お幸せそうで…仲睦まじくていらして…」
「は、いぃっ…」
しんとした廊下に歌うような声が響き、姫はますます真っ赤になって、茹った様になりました。

「…私…スグリ様が、羨ましいですわ…」
「…え?」
軽やかにお喋りしていた声が、急に、低く静かな口調に変わりました。

「私も…私は…」
「あっ!?」
悲しげに目を伏せたかと思うと、姫の目の前の細い体が、突然かくんと膝から崩れ落ちました。
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