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愛の調教バトル
第5章 初調教前夜・男の回想2

 それからふた月ほど経って、私はホームページ『M女の止まり木』を立ち上げた。


 M女限定のネットカフェで、M女たちが気軽に訪れ、マスターの私と話し、

 必要があれば相談にも乗るし可能な支援もするという形で、スタートした。


 私を救世主云々と崇めるのは、正直ありがた迷惑でゴメン蒙りたいが、

自分たちを助けてくれたように、他のM女さんにも支援の手を差し伸べてという、

姉妹の気持ちが痛く心を打ったので、これは是非ともやらねばならないと思ったのだ。


 是非手伝いたいと身を乗り出してくる玲子には、 それでは『営業』をと、

SM系の掲示板をリサーチし、気になる書き込みを見つけたら、

メール連絡で『M女の止まり木』を紹介したり、

時には気になる募集に応募する様、私に勧めてもらうことにした。

 玲子は、喜々として『営業』を行い、十分成果を上げてくれた。


 
 『M女の止まり木』はそれなりに繁盛し、多くのM女がここを訪れた。

 その中には深刻に悩んでいるM女性もいたので、会って話すこともあり、

それがさらに発展して、懇願されて調教に至ることさえ、度々あった。


 そういう場合必ず玲子に知らせたが、いつも

「知らせてくださるだけで十分です。是非助けてあげてください」

と、快く了解してくれた。


 そんな玲子の信頼に応えるために私は、M女の調教に当たっては、

 1.奴隷として調教するのは、懇願してきたM女だけに限ること
 2.翔子と創り上げた「愛のSM]の基づき、調教すること
 3.M女の心の傷が十分癒えたと判断したら、その時点で「卒業」させること

を厳守すると玲子に誓い、それを実行した。


 そしてその後20年の間に十数人のM女性を調教し、

 50歳を超えたのを機にそろそろやめ頃と判断し、

『M女の止まり木』のホームページを閉じた。


 しかし玲子はその後もしばしばSM掲示板を覗き、時々私に知らせて来てもいたが、

その中で「この子、特に気になるから」と私に応募を勧めて来たのが、

麗の「ご主人様募集」の書き込みだったのだ。


 
 あの子と私は、共に大切な人を事故で失った。

 それぞれ、亡くなった人の想いを大切にしている。

 奇しくもそれ故に、明日の初調教で、真剣勝負の対決をするのだ。

 






 




 
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