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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
 俺はお嬢様の手を取りお集まりの皆様の前に進み出て、軽くお辞儀をした。そして、お嬢様の手を一度離して、踊り始めた。

 音楽も無え、ほとんど触れる事も無え。手拍子と、ステップを踏む足音のリズムと、お互いを視線と掌と指先と気配で確かめるだけで踊ってく。
 「家の恥」で「他人」な「独り身の男」は、「嫁入り前のローゼルに触るのはちょっと」だからねw
 仰る通りに触らず踊りゃあ、文句は御座いませんでしょう、ってな。
 ついでに歌も断ったのは、元々そんなもん要らねぇからだ。俺は歌が得意だが、お嬢様が踊る時にゃあ、音楽なんざ無くても良い。ってか、邪魔だ。
 お嬢様が踊りゃあ、それがそのまま音楽になる。床ぁ踏んで、回って、反って、捻って、爪先で向きを変えて、踵を鳴らす姿全てから、極上の音が流れ出す。俺は、お嬢様が動くのを邪魔しねぇ様に、動きやすくなる様に、もっと自由に、好きなだけ踊れる様に、それさえしてりゃ良いだけだ。それだけで、まるで体の重さが無ぇみてぇに軽やかに迷いなく、空間に鮮やかな残像を描き、俺の中に旋律を残してく。

 ああ。お嬢様ぁ、今日も綺麗だねー。
 青いドレスに身を包んでも炎が燃え上がる様に鮮烈に踊る、誰より綺麗で、この世に二人と居やしねえ、何より大事なお嬢様。
 これから御従兄弟様と踊って一緒になりなさるんだから、もう一っ欠片も俺のお嬢様なんかじゃ無ぇんだが……こうして見ると水晶の様な輝きは、お小さかった頃から少しも変わらねーやね。
 明日からお嬢様ぁ目の前から消えちまうけど、俺にゃあ長年のお嬢様のお姿の貯金が有るからね。今までのお嬢様の思い出を時々ほじくり返しながら、この先ゃあ生きて行きますぜ……
……なーんて事を思っていたら、踊りが大人しい隙に、お嬢様に話し掛けられた。

「ここから離れるのね。サクナ様から聞いたわ」
「ええ。離れはしますが、お困りの時は、いつでもお助けに参りますよ」

 もっとも、お嬢様にゃあ、もう御夫君様が居るからねー。俺の出番なんざ、無ぇだろうよ。

 御夫君になる御従兄弟様は、今んとこ少々我が儘が過ぎる様だが、お嬢様が笑ってんなら、大丈夫だろ。
 御従兄弟坊ちゃんぁお嬢様より年若なんだから、仕方無ぇよな。嫁を取ったら少しずつ、しっかりした男になってかれるだろうよ。
 お子様でも出来りゃあ、急に大人になんだろーしね。
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