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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第4章 薔薇はネズミにはなれません
「…ちょっとだけ、あの子が羨ましいわ…」
「え?」
「ちょっとよ!ほんのちょっとだけよ!」
「まさか、ほんとにまだ諦めてらっしゃらなかったんですか?サク」
「違うわよ!サクナ様はもうぜんっぜん関係ないから!!」
ぶった切りで遮られた。
この前お兄様方と派手に喧嘩なさってから、輪をかけて感情の起伏が激しいね。
上のお兄様からはいくら何でももうそろそろ結婚しないと差し障りが有ると見合い話を持って来られて爆発し、下のお兄様からはサクナ様は婚約されたのだからいい加減諦めろと諭されて癇癪を起こしなすってた。
そういう意味では、サクナ様の件は、今のお嬢様にはリンゴ園の蛇みてぇなもんだな。
…ま、俺は分かってて踏んだんだけどなwww

「あんな風に何も考えないで素直に誰かに抱き付けるような性格だったら、私も幸せになれたのかしら…」
…お嬢様。妙に弱気になってなさるねー…。

「お嬢様?」
「なによぉ!」
あ、こりゃ大分回ってるねー。
そりゃそうか、回ってなけりゃこんな事言って管を巻いたりなさらねぇよなあ。
山より高い誇りと、海より深くから自然に湧き上がる自信。それがウチのお嬢様だからねー。

「お嬢様は、スグリ様とは違いますって。お嬢様は、お嬢様ですぜ」
そう。カヤネズミがうっかりの巣から離れられねぇように、お嬢様は、決してカヤネズミにゃあ成れねえ。
カヤネズミにはカヤネズミのやり方が有って、水晶の薔薇には薔薇のやり方があるんじゃないかと思うんですがねー。

「…どうせ、馬鹿にはなれないわよ…『うっかりした』とか『眠いの』とか言っても、似合わないわよ…」
「あー…そりゃ…」
そりゃあそもそも、うっかりすることなんか、お嬢様は絶対自分に許さねぇでしょうが。眠かったら四の五の言わずにとっとと寝て、起こそうもんなら殴る蹴るで抵抗して断固として寝ちまいますよね…
と思っていたら、ものすごい衝撃が来た。

「…『おかえりー』…」
「…っぉっ!?…」

なんだこれ。
お嬢様が、突然俺に抱き付いたのだ。
驚きの余り固まってたら、お嬢様はふいっと離れて、そのまま座っている長椅子が壊れんばかりの勢いで倒れ込んだ。
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