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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第13章 首より大事な物が有ります
●月●日

「庭を~掃きましょ~うお嬢様~、っと」

 俺はその朝、庭仕事をしていた。
 庭仕事っても、枯れ枝を集めたり草木の枯れた所を片付けたり、日当たりや日陰をそれぞれの草木に合わせて塩梅してやる位だ。ちゃんとした手入れは庭師がやるから、ちょっとした事だけやっている。
 一通りの事を終えて、枯れ枝やら枯れ草やらを片付け始めた。
 以前は全部手で拾っていたが、サクナ様に習った「道具は使い様」ってのを復習がてら、最近箒を使ってんだよな。ナイフの扱いで言われた事を思い出して、箒の柄を握り込みすぎるのをやめて、先っぽも地面に押し付けすぎるのを止めたら、箒で掃くなぁ随分楽になった。箒にだって役立つなんて、さすが天才の教えは違うな。有り難ぇねー。お蔭様だわ。
 鼻歌交じりで楽しく掃除してたら、足元に影が差した。

「おはよう、ビスカス」
「お早う御座います」
「良い朝だね。この辺は、暖かいな」

 ……もしもし?お坊ちゃん様?
 俺ぁ先程から、それほど良くねぇ朝になりましたよ?
 お嬢様とのお散歩だったらいざ知らず、なんで朝から一人でわざわざ庭にいらしてんだよ。
 俺が黙ってんのが不服だったのか、お坊ちゃんは俺が絶対乗らずに居られねぇ事を、にこにこしながら言って来た。

「昨日、ロゼと寝たよ」
「……っ!」
「可愛かったなあ。最初は震えてたのに、そのうち悦んで縋り付いて来」
「婚約者様との秘め事を他人に軽々しく話されるのは、婚約者様に失礼なのでは」

 自分の女の閨での様子を他の男に話すなんざ、最悪の趣味だね。もしかすると自慢なのかもしれねーが、惚気てぇなら他にやり方が有んだろ。サクナ様に習って来いや。

「怖いなあ、冗談に決まってるだろ?まだ寝ちゃ居ないよ。ロゼは少々清らか過ぎて、お堅いからね。抱き締めて愛を囁いた位だよ……でも、お前にはそんな事、関係無いだろう?」

 関係ねぇなら、余計俺になんか言うな。
 そう思ってたら、坊ちゃんは天使の様に微笑んだ。

「だけど、僕の婿入りがちゃんと決まったら、もっと関係無くなるよ?」
「あ?」
「お前はどこでも好きな所へ行って良いからね」
「なっ」
「ロゼの護衛は、今僕に付いている者達を付けるから、お前の仕事は無くなっちゃうんだ。……長い間、ご苦労様。」

 俺が何も答えねぇのに気を良くした風に、お坊ちゃまはご機嫌で去って行った。
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