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本の夢…
第2章 本の先生



おばあちゃんの家を飛び出した。

1人になりたかった。

1人になるのが怖かった。

肩から下げたポシェットにはお年玉が入った財布と携帯と先生が貸してくれた本がある。

ちょっと寒かった。

マフラーを顔の半分までグルグル巻きにしてダッフルコートのフードを被る。

誰も私の事には気付かないはず…。

気付かれたくない。

だって、私は泣いているから…。

お父さんは新しい家族を用意している。

お母さんは私を捨てる用意をしている。

そんな話を聞いちゃった。

駅前に出た。

斉藤先輩が歩いている。

髪の毛が茶色い女の子の肩を抱いて駅に向かっている先輩…。

私には気が付いていない。

私がつまらない子だったから先輩も新しい恋愛を始めたんだと思った。

私が全部悪いんだ…。

私なんか居なくなれば皆んなが幸せになれるんだ。

つくづく、そう思った。

踏み切りの前に行く。

ここに飛び込むと皆んなが幸せになれる?

どんなタイミングで飛び込むの?

本ではそんな事を教えてくれなかった。


「上垣さん?」


腕が掴まれた。


「塚原…先…生…。」


びっくりした。

踏み切りで先生が私の隣りに立っている。

しかも顔を隠した私を何故か先生はわかっていた。


「先生ぇ…。」

「どうしたの?何があった?」


先生が心配そうに私の肩を撫でてくれる。

涙がいっぱい出た。

電車が通り過ぎて踏み切りが開いたけれど動けなかった。


「大丈夫だよ…。ゆっくりでいいからね。」


先生が笑顔で言ってくれる。

先生のコートにしがみついていっぱい泣いた。

ずっと先生は笑顔のまま私の肩を優しく撫でてくれるだけだった。



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