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本の夢…
第10章 卒業



「それじゃぁ、私は帰るから…。」


佐川さんを残して図書館の前から立ち去った。

走って家に帰る。

携帯を開いて先生とのトークアプリを開く。


『先生は退出をされました。』


アプリにはそんなメッセージだけが残っている。

先生に電話をかける。

何かあれば連絡をしなさいと言われた番号。

なのに、その番号も繋がらない。

だって…、その番号は学校の先生専用の携帯の番号だから…。

学校を辞める先生の携帯はもう繋がらないんだとわかった。

なんで?

どうして?

一言だけ私に教えてくれなかったの?

私が佐川さんみたいにしつこく先生を追いかけ回すかもしれないから?

先生…。

どこにいるの?

家を飛び出して先生と行った海に向かう。

終点の駅からバスに乗って、また違う電車に乗り換えて、やっと海に着いた。

浜辺には何もなかった。

先生の叔母さんが居る事を期待していた。

今は冬で海の家なんかある訳がないのに…。

轟々と鳴り響く海鳴りの中で私は1人でわんわんと泣いた。

1人ぼっちで先生が居なくなった寂しさを抱きしめて真っ暗になるまで浜辺で泣き続けた。

また1人になったのだと改めて理解をした。

だけど、私はもう子供じゃない。

立ち上がって前に進む大切さも先生から教わった。

自分を大事にしなさい…。

先生が唯一私に向けて叱る言葉を守る決心をした。

立ち上がって私は歩き出していた。

3日後、叔母さんと出掛けた。

あの公園の向こう側に大学がある。

公園から『大学通り』と言われる商店街の道がある。

その先が私が通う大学。

大学まで徒歩10分の距離のマンションに叔母さんが私を連れて行く。



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