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つらい恋なんか投げ捨ててやる
第3章 つらい恋を投げ捨てろ 前を向いて胸を張って歩けるように
不意に涙が溢れ、ギュウッと握ったら痛みが走った。手のひらにピアスが刺さったようだ。でも失った恋の途轍もない痛みに比べたらどうということはない。

さあ、最後の仕上げをするのよ。

指を開いて手の中の小さな宝物をもう一度眺める。そして腕を後ろに大きく振りかぶり、川に向かって思いっきり投げた。わたしのかけがえのない宝物だったピアスは、太陽の光を反射してキラキラ輝きながら見えなくなり消えていった。

「うっ・・うう」我慢出来ずにその場にしゃがみ込んで泣いた。泣いたらどんどん悲しくなって小さな子どものように大きな声を上げて泣いた。

涙でにじんだ目の先を、はらはらと薄桃色の紙細工のような花びらが舞い落ちる。顔を上げたら抜けるような青空と満開の桜がわたしに微笑んでいた。

ああ、本当に全部捨てちゃった。恋を捨てて大切な思い出も投げ捨ててしまった。今さら後悔しても遅い。もう前を向いて自分の足で歩くしかない。

ショルダーバッグから取り出したハンカチで涙を拭いた。よしと気合を入れて立ち上がり、胸を張って歩き出す。

眩しい太陽の光を浴びて、震えて砕けそうになる膝を叱りつけながら、精一杯の力を込めてわたしは歩く。




ーつらい恋なんか投げ捨ててやる 完ー
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