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私怨の宴 背徳の凌辱
第1章 戦慄の序章、娘の拉致
警視庁有明署に勤務する刑事、根岸恭平は、穏やかな朝食の一時に、言い知れぬ幸福を感じていた。
「あなた、コーヒーが入ったわ」
柔和な表情を浮かべる涼し気な瞳の美女は、二度目の妻、志桜里だ。31歳の人権派弁護士として、犯罪被害者のみならず、加害者更生にも注力し、マスメディアにも少しばかり露出のある志桜里だが、家庭人としても立派なもので、再婚後五年が経過するが、立派に妻として、そして母としての役割を果たしてくれている。才色兼備の出来すぎた妻だと、常々自慢に思う。女優張りの美貌のみならず、少女時代から体操で鍛え上げたというナイスバディに今もって虜となっている恭平は、肉体的な相性の良さも、夫婦関係を良好に保つ不可欠な要素だと密かに実感してもいる。

「おはよう、美空ちゃん」
リビングのドアを息せきかけて、押し開けるのはセーラー服姿の一人娘、美空だった。まだあどけなさが残る15歳の高校一年生、ボーイッシュなショートの黒髪が似合っている。
「…おはよ」
15歳の美空はかすかに反抗期のにおいを漂わせつつ、両親とは目も合わせないまま、そっけなく挨拶を返すと、椅子には座らず志桜里手作りのサンドイッチをつかみ、小さな口で頬張る。
「美空ちゃんったら、少し落ち着いて食べていったら?」
志桜里の優し気な問いかけに、少しだけ思春期特有の美少女らしいポーカーフェイスを和らげたものの、頷いただけで、義母の差し出したココアのマグカップを唇に押し当て、すぐに玄関に向かった。
「行ってきます…」
「なんだ、愛想のない奴だなぁ、昔は目の中に入れても痛くないほど可愛かったんだが」
「そんなこと、いわないの。あの娘もお年頃だもの。『パパ大好き』なんて、言わないのが普通よ」
と、志桜里は血縁こそないものの同性親らしい気遣いを見せる。
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