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私怨の宴 背徳の凌辱
第11章 最後の黒幕
石岡はあえて恭平の手錠を外した。だが、跪かされたその眼前に銃口が突き付けられる。
「命乞いするか、根岸? いずれにせよ、てめぇも殺人犯。未来は無いも同然だ。だが生きていたいだろう?」
命あるものならば助かりたいのは当然だ。恭平は身体を恐怖に震わせる。

「だからって、てめえのことは許さねぇ。俺の愛する者たちも、みんな死にたくはなかったんだ。貴子のこと…立山のこと…覚悟を決めな、根岸」
銃口が恭平に向いた。弾痕が発射される0.001秒前…。その発射口が天井に向けられ、大きくそれた。
「志桜里さん、あんた!!」
石岡に背後から抱きつき、恭平を庇った者。それは全裸の美女志桜里だった。恭平は『内助の功』がもたらした反撃の好機を逃さなかった。
「志桜里、離れろ!!」
銃口を向ける先を争う様にもみ合う恭平と石岡。が、意表を突かれたため、石岡は分が悪かった。己の心臓に銃口が向いた瞬間、その凶器が暴発した。血しぶきをあげて仰臥したかつての友を前に、恭平は立ち尽くすしかなかった。

志桜里は妙に爛爛と輝く瞳を恭平に向けたまま、銃を握りしめたまま絶命した石岡を抱きとめている。
「志桜里…」
自分を拉致監禁し、テロリストと一緒に散々嬲り尽くした相手にも憐憫な表情を見せる美貌の妻が心底愛おしかった。自分は、この妻に何を語ればよいのか。己の保身のために薬の売人であり、殺人鬼でもあることを赤裸々に語ってしまった今、しかも自分のために想像を絶する凌辱に曝してしまった償いを、この穢れき女に何をもって償えばよいというのか。彼には想像ができなかった。だが、その贖いの手段は意外な解決を見ることとなる。
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