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嘘やろ!?
第10章 芸術と科学



遼さんと話すと痛い視線を山ほど浴びるから渚君と話す方が安全なんだと感じる。

やはりこの店での一番人気は遼さんなんやと変な納得をした。


「後30分くらいだから待ってろよ。」


テーブル席の注文を取った透がカウンターに来ると私の頭を撫でながらそう言う。

フロアの責任者はどうやら慎也さんらしい。

未成年の透はお酒を作る事が出来ない。

だから26歳の慎也さんと2人でフロアの担当してる。

透は主に厨房で料理担当…。

それがまだ高校生である透が出来るだけ店に居る時間を減らす方法…。

遼さんの考えに少し感心する。

遼さんは常に透を見てる。

父親の愛情を他人の私でも感じるのに、何故透がそれを拒否する態度なのかがわからない。

ぼんやりと考えてると遼さんが私の目の前のカウンターを指でトントンと叩く。

ふと顔を上げるとその指でカウンターの向こう側を指差した。

カウンターの横にある目立たない扉の前に透が居る。

透が来いという仕草をするからカウンター席を離れて透とその扉に入った。

丁度、カウンターの真裏に当たる壁沿いに細い通路のような厨房がある。


「飯にしよう。」


そう言った透が器用に厨房でご飯を作り出す。

チキンステーキを乗せたピラフにスープ。

玉ねぎドレッシングのサラダ。


「相変わらず美味いな…。」


やっぱり料理の腕に感心をする。


「朱音にはちゃんと食わせたいからな。ちょっと痩せてるから抱いた時に骨が当たって痛いんや…。」


冗談っぽく言いながら透が笑う。

今日はずっとご機嫌な透だからホッとする。

まだ透に慣れてない部分があるから透が不機嫌だと怖くなる。


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