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嘘やろ!?
第9章 夏休み



「送ったるわ。」


透の部屋で夕食を済ませたら透がそう言う。

仕事があるから…。

透のTシャツを掴んだ。


「今夜も仕事なんか?日曜日くらいはほんまは休めるんやろ?」


透の身体が心配になる。

私の為にほとんど寝ていない。

それに透が働く事を遼さんが望んでいる訳じゃない。

透が働きたいと言うから遼さんは仕方なく働かせてるだけだ。


「俺が扶養家族のうちは家の手伝いをするって決めたんや。」


ふふっと透が笑いよる。

それは遼さんと透の家族の問題であって私が口を挟む事は許されない部分だと透が笑ってる。


「夏休みは休暇貰うから旅行くらいは連れてったるからな。」


子供にするように私の頭をワシャワシャと撫でて宥めるように透が言う。

別に…、そんなんちゃうわ…。

口を尖らせて膨れっ面しかしてやれない。

遼さんはベッドで透と話し合えって言うけれど、ベッドの中じゃ私は喘ぐだけで透とまともに話なんか出来てない。

透が私の手を引いて部屋から出る。

マンションの通路を店側と反対側のエントランス側へと向かう。


「佳奈子(かなこ)…、勘弁してくれや。」


透が私の手を離して見知らぬ女の子にそう言った。


「だって…、透…。」


エントランスの隅に立っていた女の子が泣きそうな声で透に言う。


「車に行っとけ。朱音…。」


透が私に車のキーを投げて来る。


「いや、いいよ…、タクシーで帰るし…。」


透にキーを投げ返そうとすると透が凄い目で睨んで来る。

背筋がゾワゾワとする。

ここで逆らったら学校で犯されるという恐怖が湧いて来る。


「ほな…、待っとくわ。」


大人しく透の言葉に従ってマンションの隣にある駐車場に向かうしかなかった。


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