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白濁の泉
第2章 なれ初め
そんな事があった夜。
仕事が終わって帰る途中、道路に架かる橋からみなとみらいの夜景を眺めていると不意に涙が溢れて止まらなくなりました。自分でも泣く意味も分からないまま泣き続け、ようやく涙も乾いた頃、誰も居ないホテルの一室へと帰る事にしました。

潤が居るコンビニの灯りが見える……。
でも立ち寄る気分になれず、真っ直ぐホテルに戻るつもりでした。前を通る際、店内には目もくれず少し足早に通りすぎた時、後ろから駆け寄って来る足音が響き、私を呼ぶ声に立ち止まりました。

「今日は帰りが遅いので心配していましたよ!よかったぁ~何もなくてぇ~」

潤でした。

「ありがとう!大丈夫だよ〜今日は仕事が忙しかっただけだから」
「すみません、おせっかいな事を言って」

潤は苦笑いしながら頭を掻いていました。

そして、手に持っていた薄いサクラ色の封筒をおもむろに差出すと
「僕の気持ち読んで下さい」
そう言って照れくさそうに渡されました。

私は、きっと目が腫れているだろうそんな顔を潤には見られたくなくてどうにか笑顔を作り上げ、ありがとうと短くお礼だけを言ってすぐに背を向けました。



頭から熱いシャワーを浴び、気持ちが落ち着いた頃、潤から貰った封筒を開け沢山の便箋にしたためられた長い手紙を読みました。
ゆっくり、何度も何度も読み返した。
読んでいるうちに枯れたはずの涙がまた止まらなくなり、さっき橋の上で泣いた時の数百倍も声を出して体が捩れる程泣きました。
涙も鼻水も部屋のティッシュも尽きると、今度はクスクスと笑い泣きしていた。
頭を掻きながら私に手紙を書いてくれている潤の姿を想像して、笑いが込み上げてきたのだ。

私の風俗嬢としての源氏名は
『愛』
です。
今でもナンパなどをされた時にこの源氏名を使います。

今でも。そしてあの頃も。私が風俗嬢として頑張れたのは潤の存在と、『愛』と言う名前のお蔭だったと思っています。
『愛ちゃん』と言う風俗嬢を役柄として演じる事で、『千春』と言う本当の自分を守る事が出来たんだと思っています。

だから、AV撮影にしても私には同じ感覚でしかなかったのかも知れません。
役を演じる。
ただそれだけの事。


演じる事で私は、別の私でいられるから。









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