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白濁の泉
第4章 巡礼者
「千春ちゃん、後でスタイリストよこすから先にシャワー済ませて待ってて」

米沢はそう言い千春に笑顔を残して控え室を後にした。

彼の真面目な表情を見るのは学生時代以来だった。
当たり前の事だかここは彼の仕事現場なのだ。
控え室を出る時、米沢は目配せで私に呼び掛けた。
少しの間を置いてから、千春にコンビニへタバコを買いに言って来ると言い残し出て来た。

廊下に出ると米沢の姿を見つけ私が歩み寄ると彼は「スタバ行こう」と言って歩きだした。
朝のすえた臭いが漂う繁華街の歩道を二人ならんで進みながら米沢はぽつりと呟く。
「お前にはキツイかもしれんぞ、最後まで居るか?」
私もぽつりと呟いた。
「あぁ、そのつもりだ」

米沢は無表情に「わかった。今日の監督は俺がやるから」

そう言ったあと、私達の会話は途切れた。
長い付き合いだが、こんなにお互いの緊張が犇めいた時間を共に過ごした事はなかった。

コーヒーを片手に撮影現場に戻るエレベーターの中で、米沢に「お前にも撮影を手伝ってもらうぞ」、と言われたと同時に扉は開いた。
それは私にとっても、もう後には戻れない扉が開いた事を意味していたのだ。

フロアの廊下には公募で集められた10人以上の男優達が所狭しと、肩を寄せ合いながら地べたに座り込みスマートフォンをいじりながら関係者からの指示を待っていた。
数時間後に、千春はこれらの男優達のぺニスを突き立てられ巧みに射精へと誘い全身で受け止めていくのだ。
興奮と武者震いが込み上げ背筋を流れる電流が全身に鳥肌を立たせている。
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