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きっかけは映画館
第5章 ラブシーン


『こういうの期待してここに来たんでしょ?』

肘男の言葉を反芻する。

・・・どーいうことよ!!



男優はシーツを捲りながら愛撫し、現れた内ももにキスをする。
人差し指がいやらしく太ももを下降し、また上がっていく。


すると、スカートとストッキングの境目を撫でていた肘男の指がスカートの中に侵入しストッキング越しに内ももを撫で始めた。

や…ぃや…

また女優の声と被ってしまったが、左手で肘男の手を払おうと動かす。

しかし肘男は動じず、私の右手を包み込んで優しく撫で擦る。


ああ、いやらしい手つき…

いつ以来?

祐司は普段のスキンシップを嫌うから、日常生活で触れ合うことはない。

いつ…以来?

2ヶ月、いや3ヶ月?

そこが祐司の偉いところと思っていたけど、ただマンネリに性欲の捌け口に私を使ったりしない。
デートや旅行先で…ということはあるけど、
互いの住まいでコトに至る事は少なかった。


さっき会釈した時、肘男の顔を見た。
こんなことするようなキモい男ではなかった。

どちらかというと爽やかな印象の…

ってなになに!?

キモくなければ許されるわけじゃない。

でも、微妙な、探るような指先に、体が震えていた。


甘んじて受けるつもりはないという主張で、捲られそうなスカートを必死で押さえていたけれど、
手を払ったり、つねったり、声をあげる、席を立つ…
色んな拒絶の方法はあるはずなのに、行動に移せなかった。



男優はとうとうシーツを被り、女優の脚の間に顔を埋めている。
本当にしているわけではないはずなのに、シーツの動き具合が、女優を舐め回していると連想させる。
女優もシーツの端をギュッと握り絞めて快感に堪えているが、引き結んだ唇が綻び、甘い声が漏れていた。





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