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月下の幻影
第1章 月下の幻影


「……」



潮風が真琴の頬をざらりと撫でる。



“まぁ、オカルト話だろうけどよ”



そういえば────


“さよなら、真琴”

あの青年は、何故自分の名前を知っていたのだろうか。
そもそも彼は、一体どこからやってきたのか。

確かに、昨日の夜、あそこにいたのは自分ひとりのはずだった────













「……帰ろう」

真琴は、駅の改札に向かって歩き始めた。
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