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愛おしいキミに極甘な林檎を
第36章 You belong to me
「勝てないと分かっていて挑む人間はいないと思いますよ」
「負けると分かっていて挑んだも同じであろう。戯言ばかり語る小僧に孫をやるわけにはいかぬ。
何としてでもこの家を継いでもらわねばならぬからな」
「立派なお庭ですよね。似たような種類の花を植えている花壇と数種類の花を乱雑に植えている花壇がありましたがあれはお爺さんの趣味なんですか?」
「数種類の花を植えている花壇は亡くなったわしの妻が大切にしておったものだ。色んな花を見たいと言って欲張っておったからな。
だからあの花壇は妻が選んでいた花を同じように植え続けておる。わしの趣味ではない」
「そうでしたか……」
おじいちゃん……。
隠された婚姻届けを探していた時に収納棚から見つけた写真にもその花壇が映っていた。
この家が先祖代々続いているからだけでなく、おばあちゃんが気に入っていた花壇も守っていくためにも後継ぎを探していたんだ。
今でもおばあちゃんのことを愛しているから……————