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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

少し早めに会社に行った私はお世話になっている人にチョコを配った。
同じ課で唯一の同性である菊さんもチョコを渡しているから私も真似てしている行事。
一人でしているわけではないから渡しやすいし、うちの課の人数は十数人だからまだ楽だ。
席を外している課長とまだ来ていない潮崎さん以外に渡し終えてからデスクに戻る。
椅子に座ってから「ふぅ……」っと一息つくけれど、潮崎さんがデスクに来て休む暇もなく立ち上がった。
残っているチョコを大きなトートバッグの中から取ってそれを差し出す。
「おはよう。潮崎さんもバレンタインチョコをどうぞ」
「うおお!ありがとう、風子。すげぇ嬉しい!十数年経ってからもチョコをもらえるなんて……、まさにこれは運命だな」

