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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus


渡した時に郁哉さんとほんの少しだけ指が触れた。


忘れかけていた懐かしい体温を感じて、パッと手を離すと床にUSBがカシャンッと落ちてしまった。



「すっ、すみません!」


私がしてしまった失態なのに、上司に拾わせるわけにはいかない……!


焦りつつも急いで屈み、USBを手に取ると自分の下半身の方からビリビリッと嫌な音が聞こえてヒヤリとする。


「…………」


「乙羽が屈んだ時に何か変な音がしたが大丈夫か……?」


「だだだ大丈夫です。USBもこれくらいでは壊れないと思うので」



意識しない、意識しない。

自分にそう言い聞かせて差し出された手のひらに置く。


今度こそ郁哉さんが握ったのをきちんと確認した後、背後を向けて自分のデスクの方へと足を進める。



「おい、乙羽。大丈夫じゃないようだな」


「えええっ!?壊れて…いましたか……?」


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