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愛おしいキミに極甘な林檎を
第27章 婚姻届の行方



颯太の声がよく聞こえないから何を話しているのか分からない。

でも那砂さんは眉を八の字にして話していた。


電話を終えてから那砂さんは肩を落として近寄ってきた。


「あーあ。今晩、颯太くんと飲みに行く予定だったんだけど潰れちゃった。今、病院にいるんだってぇ~」

「そうなんですか」


「あら、それだけで興味ないの……?」


真面目なトーンの声でそう言いながら深刻そうな表情で私の顔を覗いてくる。

派手なメイクのせいなのかその目力に圧倒されてゾッとした。



「まぁ、人様のことなんて別にいいけど。じゃあ仕事が終わったので那砂は帰りまーす。また明日ねぇ~」


「お疲れさまでした……」


一体なんだったんだろう……。

何か言いたいようにも見えたけど、颯太のことはもう私に関係ない……――――



晩御飯を食べた後、なんとか家を抜け出してソラ先輩の家へと向かった。


「お邪魔します……」

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