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愛おしいキミに極甘な林檎を
第27章 婚姻届の行方
次の日の朝。仕事で使う資料を探しに行った時に郁哉さんも来て二人っきりになった。
いつもだと気まずいなと意識していたけれど、今日はソラ先輩のことが心配で仕事をすることで精一杯だった。
「――――お爺さんから聞いているか?明日に乙羽の家に伺わせてもらう。……おーい、乙羽。体調でも悪いのか?」
「あっ、すみません!元気です。気にしないでください」
「体調が悪くないのなら、また塑羅緒くんとなにかあったのか?」
「いいえ……。特に……」
今は仕事に集中しないと……。
「仕事に身が入らなくなるまで誰かを好きになれるなんてすごいな。オレなんて仕事に打ち込んで忘れる方だから羨ましくなる」
「私も心配されないように課長を見習わないとですね」
「では乙羽が集中できるように今日は仕事をたくさん任せるか」
「えっ……!?残業だけは勘弁してくださいよ」
「はははっ、そこは配慮してやるから安心してくれ」
「安心してます。課長は優しいですから」
「…………」
郁哉さんとはずっと気まずいままなのかと思っていたけど、意外と普通に話せて少し安堵する。
私が婚姻届を破いた後も、何の関係も持ってない時のような部下と上司としていることができればいいのに……。
どうなってしまうのか怖くなる……――――