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愛おしいキミに極甘な林檎を
第28章 結婚と彼女



「誕生日おめでとう」


「え……。あれ……、もう六月になったんでしたっけ?」


「今日から六月になったから誕生日だろ。今年も風子の誕生日にちゃんとお祝いできなくてごめん。退院したら誕生日をやり直そうね」


目の前のことでいっぱいで自分の誕生日さえも忘れていた。


つらい思いをしている時でも覚えていてくれたのが嬉しくて、それだけでも胸がいっぱいになってくる。



今までたくさんの物をプレゼントされて喜んでいたけれど、傍にいてくれればなにもいらない。


誕生日プレゼントに何が欲しいか聞いた時にソラ先輩はいつもそう言っていたけど初めてその意味が分かった。


おさまったはずの涙がまた滲んできて瞳を潤ませていく。

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