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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い


「彼の扱いは慣れてますから大丈夫です。それに病人を放っておくほど僕は非道な人間ではありません」


強気に言ってニッと笑った理人さんの右の手首を見ると擦れていて真っ赤になっていた。


恐らく抱えてくれた時に理人さんの手首が下になっていたから傷ついたんだろう。

私が繋がれていた手に気を配っていればこんなに傷だらけにならなかった。


「理人さん、ちょっといいですか」


自分の部屋に来てもらってからテーブルの前に座ってもらう。

その間、私は消毒液と大きめの絆創膏を用意した。


「手首に血が滲んでますから手当しますね」


「早く行かないといけないんでしょう?こんなことをしている場合じゃないのでは」


「このくらいすぐ終わりますし、助けてもらったお礼をしたいので。……たくさん迷惑を掛けてしまってごめんなさい」


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