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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い


いつも些細な変化から何かあったのかすぐに感じ取られてしまう。


肩を抱かれてからそっと頭を撫でられると那砂さんから受けた傷がゆっくりと癒えていく。


涙が滲んだけどソラ先輩には心配させたくなくて、見えないようにブラウスの袖で拭って微笑んだ。


「いえ……、大丈夫です。何もないです。上手く抜け出して来ましたし、平和です」



もう一度ソラ先輩にぎゅっと抱き締められると心に残った重みが消えていった。


その温もりに浸りたくて目を閉じていたからどんな表情をして私を抱いていてくれたのかは分からない。


でも大切に思ってくれていることが体を包んでくれている大きな手から伝わってきた。



「何か買ってくれば良かったですね。気が利かなくてすみません」


「風子がいてくれるなら何もいらないよ」

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