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愛おしいキミに極甘な林檎を
第32章 赤い林檎と甘い拘束



顔を埋めていた胸板から離れてソラ先輩の顔を見上げると目をらんらんと輝かせていた。


ここまでして結婚と子供を望んでくれているのが嬉しくて本当のことを言うのが心苦しい。


でもいつまでも黙っているのが悪い気がしてあの話を切り出すことにした。



「すみません……。実はピルを飲んでいるので子供はできないと思います……」


「えっ……」



なんだろうこの沈黙の間は……。


逆に驚かれているという事は期待されている部分があったんだろう。



「副作用は大丈夫?」

「全然大丈夫ですけど」


「良かった。俺は風子が婚前妊娠を考えているのかと思っていたよ」



「いいえ。駆け落ちする方を選ぼうと思ったんですけど、ソラ先輩の体調を考えて今はここにいようと思います」


自分の出した答えを言うとソラ先輩は少し考えるような素振りを見せてから口を開いた。



「それなら俺は八月中旬に海外に行くよ」

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