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恋のばんそうこう
第3章 の
「・・・今日は羽織ってろよ」
「ううん。大丈夫」

そう言って脱いで渡したジャケットを、白木は手にとってもう一度私の肩にかけた。

胸元をキュッと握りしめて
「羽織ってろ」
ほんの少し言葉が強くなる。

「そのジャケット、どう見ても男物だから。
俺が行かない飲み会でけん制になるだろ」

「そこまでしなきゃいけない訳?」
自分は乃恵と楽しそうに話してるくせに!

「俺の彼女ってオンナが薄着で他の男と飲むのはいやなんだよ」

「何それ」
「オンナのお前にはその気持ち分からないよ」

本当に全く分らないんですけどっ!

「あと・・・今後はこんな恰好で飲みに行くなよ?」

何それ。どんな独占欲よ。

「駅まで送るよ」
それは、食堂やカフェの中でもない道端で。
誰にも聞かせる必要のない時なのに・・・

なに、言っちゃってんの?

「白木?今誰も聞いてないよ?」
「分かってるよ。駅に送るぐらいいいだろ」

何それ・・・誰も見てないんだから彼女みたいな扱いしなくていいのに。

「大丈夫!乃恵の幹事のお手伝いをしてあげて」
「ん?平気だろ。ひとりじゃないって言ってたし」

ううん。私を駅に送るより乃恵と一緒に居たいでしょ。
好きな人の・・・そばにいたい気持ちは私が1番良く分かるから。

「じゃぁ、コーヒーごちそうさまでした」

そう言って、駆け足で駅まで向かう私の背中に
「明日な」
と声が届いた。
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