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恋のばんそうこう
第4章 か
お腹もいっぱいになって
焼き係をしていないメンバーが、鉄板を片付けている時に
里香さんがそっと話しかけてきた。

「こんにちは。白木くんの彼女さん」
「あ。こんにちは。松井です」

里香さんはニコニコ、というかニヤニヤ笑って

「溺愛されてるわねぇ~」
とつぶやいた。
「え?」

「白木くんよ。松井さんの事、溺愛してるよね」
そんなコト、ないですよ。

「さっきは松井さんを蒼くんに会わせたくなかったんでしょ」
「・・・・」
「他の男には話しかけさせないって感じだったものね」

「・・・・」

「いつもポーカーフェイスで何事にも動じない白木くんが
珍しく不機嫌だったものね。面白かったわ」

里香さんはそう言って声を出して笑いだした。

綺麗な人だな。
楽しくて、可愛い。

成田先輩が選んだのは、この人なんだ。

改めて成田先輩がこの人を選んだ理由がわかった気がした。

「里香さんは、成田先輩と幸せですか?」
「うん」

とびきりの笑顔で言われたから
もう、スッキリした。

あの頃・・・今まで私の周りにいた高校時代の男子とは違う、
大学生の成田先輩が凄く大人に見えた。
素敵で、カッコ良くて、みんなの憧れに自分も乗っかった。

それはアイドルを見るような
手が届かないと知っている人を好きになるような
そんな気持だったのかもしれない。

「白木くんと松井さんもお似合いだね」
「え?」
「だって、今日1日、白木くん松井さんを離さなかったものね」

そう言って里香さんは面白そうに笑う。

そして、そう言われてなんだか嬉しい自分がいた。
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