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恋のばんそうこう
第7章 た
「大好きだよ」
「乃恵より?」

私のその言葉にビックリしたように

「今ここで言うか?」

と笑いだす。

「言うでしょ!それだけは教えてよ!」

不安そうなわたしの顔を見て、白木は苦笑いした。

「乃恵ちゃんの事はもう好きじゃないよ。
綾香だけ。綾香だけを愛してるよ」

その言葉に、夏休み中引っかかっていたもやもやとザワザワした感情が
スーッと消えてどこかへ飛んで行った。

痛いの痛いの飛んでけ~と

白木が呪文を唱えたように。

「綾香は?」
「え?」
「成田さんはもういいのか?」

私の首筋をゆっくりと舐めながら、白木が視線も合わせずに言うから

「どう思う?」

なんてからかってみる。

「ほんと、意地の悪いオンナ」

悔しそうにそう呟いた。

「いつまでたっても成田さんを好きだって言うし、
ノースリーブで飲みに行くなって言うのに行くし。
お前を好きだって言ってる男と飲んでるし。

綾香の行動のすべてから目が離せないよ」

苦笑いした声が耳元で聞こえたかと思ったら
そのまま耳たぶを強めに噛まれた。

「痛っ」
「お前がはっきり俺を安心させないからだ」

私の言葉で不安になって・・・
私の言葉で、安心するんだね。

私も、白木が好きだと言ってくれたその言葉に安心する。

「白木大好き。白木だけが好き」

私も、白木に呪文をかける。

痛いの痛いの飛んでけ~

お互いに、憧れだった恋の傷を癒して本物の恋を手に入れる。
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