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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第1章 思いがけないプロポーズ
悠はもう話は終わったと言わんばかりに、冬子の部屋のドアをノックして、おばさーんと小声で呼んだ。

冬子が慌てて後に続く。

「悠くん、こんばんは。今日はこっちに泊まり?」
「車取って帰ろうと思ったけど、めんどーだから今日は泊まろうかな」
「そうしたほうがいいわよ。もう夜遅いし。あ、冬子お帰り」
「ただいま」

冬子はそそくさと家にあがった。勘の良い母に何かを悟られたくないという意識からだった。悠にあがっていけと母はすすめたが、悠はすぐ帰るからと断った。

「悠くん、ますます良い男になったねぇ。会社でも大変でしょ」

冬子の母の美代は悠に会うと毎回同じことを言う。悠がモテて大変だった時期を美代も良く知ってるからだ。

「最近はそうでもないよ」
「社長や昌子さんが早く結婚して欲しいって、しょっちゅう言ってるわよ。孫の顔が見たいんですって」
「知ってる。孫、孫、ほんとうるさい。おばさんは?冬子の心配してないの?」

悠は飄々とした様子で尋ねた。
冬子はお茶をコップにうつしている時で、あやうくこぼしそうになった。

「そうねえ。まあ、そういうのは’縁’だからねぇ」
「冬子に良い奴紹介するって言ってんのに、乗り気じゃないんだよね。おばさんからも説得しといて。『三軍の災い、狐疑より生ず』って」
「どういう意味なの?」
「迷ってるうちに勝機を逃すって意味」
「ですってよ、冬子」

美代が冬子の方に顔を向けて言った。

「良い’ご縁’だと心から思えるなら、迷ったりしないもん」

冬子は正直な想いを告げた。
美代はにらみ合う二人を見て微笑んだ。

「悠くんみたいなハイレベル男子が近くにいるから、冬子の理想が高くなるのね。きっと」
「おばさん、さすが!よくわかってる」
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