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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
その時、ピピピ・・・・と悠の時計が鳴った。
冬子はハッとして悠から離れた。
お互いの家の前でなんてことをしているのだろうと今更ながら我に返った。

誰か見ていなかっただろうかときょろきょろと辺りを見渡す。

「汗引いて寒くなってきたから帰る」

悠もさすがにこれ以上一緒にいたらまずいと思ったのか、冬子から離れた。
悠は冬子が持っていたパンの袋を逆さまにして、残っていたパンを全て池に落とした。
鳥たちがすいすいと移動して近づいてくる。

「・・・・今日、行くの?デート」

冬子はずっと気になっていたことを思い切って尋ねた。

「行かねーよ。あれ、嘘だし」

悠は袋を冬子に返した。

「嘘?」

なんでそんな嘘をつくのだろうと、冬子は眉を寄せた。

「昼から仕事だよ。じゃーな」
「うん・・・・バイバイ」

冬子は悠の姿勢の良い後姿を見つめた。まっすぐに伸びた背中。

悠がぱっと振り返る。冬子がそこに立って自分を見ていることを確認すると意地悪そうな笑みを浮かべた。

「次は舌入れるからな」
「!」

誰かが聞いていたらどうするのだと冬子がはらはらしているうちに悠は家の中に消えた。

(キス・・・・・)

今さっき起きた出来事が白昼夢だったのではないかと思うほど、冬子にとって現実的ではなかった。

悠の気持ちがわからない。だから混乱する。
冬子はそっと唇に手をあてた。

冬子は母がゴミを持って外に出てくるのを見かけて急いで部屋へと戻った。
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